開発ストーリー

01
はじまりは一本の電話から
“管理会社任せ”の現状を変えたい ― 開発者が直面した理事のリアル
はじまりは、ある晩にかかってきた友人からの電話でした。
「マンション管理組合の理事になったんだけど、修繕費が足りなくなりそうで困ってる。」
──突然受けたそんな切実な相談に、私も正直驚きました。
築20年以上のそのマンションでは、長年、管理会社にあれこれ任せきりで、理事会は報告を“受けるだけ”の状態。気づけば資材高騰なども重なって修繕費用が膨らみ、当初の計画をはるかに超える出費が続いていたそうです。理事メンバーは本業の合間を縫ってなんとか対応しようとするものの、相見積もりや価格交渉に手間をかけられず、管理会社の提示金額をほぼ受け入れるしかない状況。そうなると、いつの間にか修繕積立金は不足し、住民から追加で徴収するか修繕を後回しにするしかない──まさに「苦肉の策」しか残らない状態でした。
そこで私は「いったん修繕の優先度を見直す」「可能なら相見積もりを取る」「積立金の増額も視野に入れる」といった助言をしましたが、友人は「結局、理事の負担が大きすぎる」と嘆きます。ほかの管理組合に話を聞くと、多かれ少なかれ同じ構造的な問題を抱えていることを知り、これは個別のマンションだけの話ではないと痛感しました。

02
なぜ修繕費が足りなくなる?
理事が陥る落とし穴
理事の多くは住民ボランティアであり、「余分な仕事」はできるだけ減らしたいのが本音です。
その結果、管理会社に丸投げしやすくなり、“妥当かどうか”を精査しないまま工事を実施してしまう。気づけば修繕費が足りなくなり、いざ追加徴収となると住民から反発が出て、必要な修繕すら後回し……マンションの資産価値が下がってしまう悪循環に陥ります。本来、マンション管理の主体は管理組合にあるはずですが、理事会の業務負担が大きいために管理会社へ依存しがちなのが現状。管理会社のなかには良心的なところもありますが、利益優先の提案になりやすい場合もある。理事は「自分たちのマンションを守りたい」という気持ちがあっても、時間も必要な情報も足りない中では、適正価格やタイミングを見極めることはかなり困難なミッションになります。

03
住民が守るマンション運営
― 主体的管理のススメ
そこで重要なのは、住民(理事)が「自分たちの資産」であるマンションの管理を主体的に考えることです。
管理会社に任せきりだとコストが膨らみがちで、将来的な資金不足に陥るリスクは高まります。一方、理事会が主導すれば「いつ・どんな修繕を、どれくらいの費用で行うか」を住民目線で決められるため、納得感や透明性が段違いに高くなります。もっとも、そのためには情報収集や交渉、シミュレーションなど煩雑な作業が増え、理事の負担が激増するのも事実。仕事や家事・育児と両立しながら、さらに管理組合の重責を担うのは簡単なことではありません。

04
理事業務をラクに、未来の修繕費に
安心を ― 『まんくみ』開発の想い
私たちが「まんくみ」を開発した背景には、そんな“管理会社まかせ”の状況を変えたいという強い思いがあります。
とはいえ、「理事会の手間を増やしてまで主体的にやるのは負担が大きい」という声も多い。
だからこそ、“必要な情報をワンクリックで把握できる” “複数の修繕シナリオを即座に試算できる” といった機能を充実させ、極力シンプルなUIを目指しました。
会計・修繕計画のデータが一元管理され、将来の残高推移をスマホでもすぐ確認できる。投票や議論がオンラインで完結するから、理事会そのものの時間も大幅に短縮できる。結局、「自分たちで管理した方がいいのはわかっていても、手間が増えるのは嫌だ」という本音を満たすために、手軽さと主体性の両立を追求したのが「まんくみ」の最大の特徴です。

05
理事・住民が安心して暮らせる未来へ
今後も私たちは、理事の皆さんの声を反映しながら機能を拡充し、“管理会社まかせ”だった状態から抜け出してマンションを適正に維持できる環境づくりを進めていきます。単に費用を節約するだけでなく、資産価値や住み心地を高める手段として「まんくみ」を活用してもらいたい。そして最終的には、全国のマンション管理組合が「負担なく主体的な管理」を行い、住民が安心して暮らせる社会を実現することが私たちの目標です。
もし少しでも興味を感じていただけたなら、ぜひ「まんくみ」の世界を覗いてみてください。
皆さんと一緒に、大切なマンションを守り、より良い未来をつくっていければ幸いです。
